東大阪市の中部にあるこの敷地は、2000年に同オーナーにより建てられた学生向け単身者賃貸集合住宅の近くに位置している。今回も同じコンセプトで、主に学生を対象に単身者賃貸集合住宅として計画された。

敷地は主要道路から奥まった、住宅が密集している場所にあるため、東側に隣接する住宅に対しては敷地境界にガラスクリーンを建て、日照とプライバシーを確保している。またバルコニーの手摺りおよび道路際の塀を板張りにデサインすることや、道路沿いの植栽によって、周辺の環境に調和するように配慮した。

建物はコンクリート型枠ブロック造とし、中庭を中心にシンメトリーに分棟配置した。中庭を意識的にレベルを上げることで、道路から各住戸へのアプローチにリズム感を与え、変化を楽しめる中庭空間とした。中庭の株立てのやまぼうしや竹などの植栽、朝夕中庭に差し込む光と影の変化などに、自然と四季の移ろいを感じることができるだろう。この中庭に面して設けられた階段で、中庭を眺め楽しみながら、各住戸の玄関ヘアクセスする。

内部は自然素材を生かして、壁：コンクリートブロック、天井：コンクリート打ち放し、床：ひのきフローリングとし、健康的でシンプルな空間とした。

今後、単身者集合住宅もエコロジーや、環境を重視した建築が求められるだろう。この建物が、周囲の建築にやさしく溶け込み、街並みの一員になることを願っている。

所在地：大阪府東大阪市

構造：型枠コンクリートブロック造

用途地域：第二種中高層住宅専用地域

敷地面積：267.01m²

建築面積：153.98m²

延床面積：443.52m²

写真：福澤昭嘉